ミャンマーでは、仏教が信仰されており、人口の9割が仏教徒と言われています。そしてミャンマーの人口の13%が僧侶で占めていると言われており、約800万人もの多くの僧侶がいることになります。仏教と言いましても、主に日本や中国、ベトナムで信仰されている「大乗仏教」とは違い、ミャンマーで信仰されているのは、「上座部仏教(小乗仏教)」です。インドで最初、お釈迦さまによって説かれた仏教の教えは、日本に伝来する過程で、シルクロードを通り、中国では漢訳され、またその時々により様々な解釈が付け加えられ、何百年とかけ変化してきました、日本の仏教には、様々な宗派がありますが、全ての宗派とも、広義の意味で「大乗仏教」と分類されています。出家しない、一般庶民の救いに焦点が当てられています。一方、「上座部仏教(小乗仏教)」は、出家者への教えであり、厳しい教えを忠実に守っています。出家し僧侶となると、10の戒(殺生、偸盗、淫行、妄語、飲酒、午後の食事、歌舞観聴、香油塗身、高く広い寝台に寝る、金銀の受領)、そして227の律を守らなければなりません。戒律が厳しく、ほとんど全てのものを放棄しなければなりません。それ故、ミャンマーでは僧侶は格別に尊敬の念をもって見られる存在となっています。いま現在、お釈迦さまが説いた教えを最も忠実に厳守しているのは、ミャンマーだと言われています。

 このようにミャンマーの宗教は、仏教一色のみと捉えられがちですが、実際には、世界的に見て主要宗教である、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教や、ミャンマー独自の「ナッ」という信仰、それ以外にも多様な宗教が数多くあります。ミャンマーは、様々な民族によって成り立っており、130を超える民族が、それぞれ宗教を信仰しています。
 最近、ミャンマーの宗教関連でニュースを賑わせていることは、ミャンマー西部でイスラム教徒である少数民族ロヒンギャ族と仏教徒が衝突したことに端を発する両教徒の争いがミャンマー全国に広がったことでしょうか。この争いについて、政府は国民から「裏切り者」と呼ばれるのを恐れてか、暴動の鎮圧に消極的と言わざるを得ません。またこの争いについては、今まで軍事政権だったため、「表現の自由」が制限され、様々な情報に対する、人々の免疫が低いこと。また高名な僧侶の発言がいかに強い影響力を持つかを示しているのではないでしょうか。
 ミャンマーに不動産視察に来られる際には、ミャンマーにある美しい仏塔「パゴダ」を必ず目にするかと思われますが、ミャンマーの宗教がいかに独自に発展を遂げてきたかに思いを巡らせるのも良いかもしれません。